遺作<遺作(elf)>
評点:1 属性:悪党


放火もする鬼畜



たとえ人の好さそうな顔をしていても、

心の中では何を考えているか分らない・・・。


たとえ上辺では従順でも、

陰では何をするか分らない・・・。


だから、「決して気を許すな」。

人は、見かけだけでは判断出来ないのだから・・・。




だが稀に・・・

見かけから既に判断出来る人間もいる。


醸し出す雰囲気から、その濁った瞳から、人は無意識に理解する。

「ヤツは危険だ」、と・・・。


その時本能は、こう警告音を鳴らしていた。

「近付いてはならない」、と・・・。




遺作―――

ヤツに近付いてはならない・・・。


肥大した被害妄想、人を外れた陰謀、陰湿かつ執拗な追い込み。

自分の欲望をその原動力にして・・・。


あるいは強姦、あるいは放火、そして殺人。

臭作などは比較にならない残虐性を秘めて・・・。


生き甲斐は、捻じ曲がった復讐。

楽しみは他人の不幸。


悪党の美学もプライドも、そこには何も無いから、

ただ恨みのままに閉じ込め、脅し、犯し、そして殺すのが遺作だから、

奴に近付いてはならない・・・。



近付けば捕獲される、容赦なく犯される、

そして最悪の場合、殺される・・・。



奴は狂人。

狂人に対する策などあり得ないから、善良で無力な人間はただ、

逃げるしかなかった・・・



だけどもし、それをしたくないなら、

そんな狂人を前にして尚、逃げるのが嫌だと言うのであれば、

もう闘うしかない・・・、排除するしかない・・・。


常識を捨て去って、相手を出し抜き、

自分も狂人となって・・・。




だが、それでも肝に銘じるべきことがある。

闘う意志を持ったとしても、素人には限界があろうから、

騙し合いにおいては、根本的な部分で決して及ばないから、せめて・・・



独りにはなるな、そして・・・

後ろには気を付けろ



狂人というものは、魔の手というものは、

獲物が独りになった時こそ、獲物が油断したに時こそ、

その本領を発揮するのだから・・・



注意しても尚、足りない相手

それが、遺作なのだから・・・




狡猾で残忍な、悪魔のような男・遺作・・・

油断した時、それは既に手遅れかもしれない。


気付いた時、その魔の手は、





すぐ背後に忍び寄っているかもしれない・・・













みんな、遺作に注意せよ・・・










出雲彼方<SNOW(スタジオメビウス)>
評点:5  属性:主人公


希望という運命に選ばれ、絶望という運命に立ち向かう男・・・




(c)スタジオメビウス
(展開)
都会で気ままなフリーター暮らしをする主人公。
従姉の「佐伯つぐみ」に請われ龍神村に赴いたのは良いが、その途中不運にも落石事故に巻き込まれてしまう・・・。
そんな生死の狭間で、彼は不思議な夢を見た。あたり一面雪に覆われた景色と、何故か懐かしい声が聞こえる夢を・・・。
意識を取り戻した時、そこに居たのは一人の幼子だった。




(分析)
一目見ただけで飛び抜けていると判断できる容姿。「長身で格好いい為、とてもモテる」という触れ込みも頷けるところである。
しかし「話し上手」と謳っている割に、彼の会話には冴えが無かった。よって結論としては、彼方を支えるのはその優れた容姿のみということになるが・・・。

無理も無い。
彼は冗談口も叩けない無骨な宮司「若生白桜」の転生体。数百年前、そのいい男ぶりで多くの女を悩ませた白桜の容姿をそのまま受け継ぎ、同時にギャグセンスの無さまで受け継いでしまったのだから・・・。
主人公なりに頑張っている割にイマイチ目立たない所理由がここにあった。

しかしそんなパッとしない彼方でも、転生という要素を帯びた瞬間に本領を発揮する。特に何の力も無いが、彼は澄乃を始めとするSNOWのヒロイン全てを救うことが出来るキーパーソンだからだ。

そんな運命を背負っていることなど知らずに龍神村にやって来た彼方。そこで待ち受けていた人々は、ほとんどが初めて出会った者ばかりである。
だが実際彼女らは、数百年前に悲恋を遂げた想い人の転生体であり、彼女の姉であり、かつて自分に懐いていたウサギが妖力を持った姿であり、それを見守ってくれた自分の妹だった・・・。
澄乃、あさひ、しぐれ、桜花、そして芽依子。
誰もが数百年前の龍神伝説から始まり、今尚その因果に囚われる者・・・。
それを断ち切る為に、彼方はこの世に生を受けたのである。

彼の使命とは、過去に起こった悲劇を現代のハッピーエンドで埋め合わせすること。
だから昔神に楯突いた白桜の生まれ変わりであることを知らないなりに、彼方は悲しい因果を背負った彼女等の運命を必死で捻じ曲げようとしたのである。
彼女等と同じように天から課せられた、自分の運命にも逆らいながら・・・。

いい加減だけど決して無責任ではなく。
意志は強くないけど、一度心に決めたことは決して途中で投げ出さず。
出雲彼方は最後まで逞しく、男らしく抗う。
そして遂に、長年に渡る因果が全て断ち切られ、それに囚われた彼女達に真の安らぎが訪れるのだった・・・。


これでギャグセンスが備わっていれば言うことは無かっただろう・・・。