エポキシパテを比較してみた
食い付き・総括


(4)追加盛りの食い付き


さて次は食い付きについて。造形する際、たった1回の盛り削りで形が出来てしまうことは稀。通常は2回3回と追加で盛っていくはずです。後から盛った部分が、前に盛った部分とどれくらい馴染むか、試してみました。

まず板状のものをつくり、室温20℃弱で24時間放置して硬化。前回お見せしたものと同じものです。表面はペーパーかけて特に平滑にしたわけではなく、かといって凸凹のままでもなく。硬化前の状態で軽くなでさすって平らにしています。指紋がうっすら残っているくらい、かな。
そういう状態にしたところに追加で盛りつけ。例えばシンナーで表面をふやかしたりとか、そういうことは一切していません。指でギュッと押しつけ、そのまま再び24時間放置。


タミヤ


上記の準備の後、大きめの平刀で比較的ラフに薄削りをしました。写真でいうと左ななめ前の方向から、わざと追加盛りした境目を狙って刃を入れました。普通はやらない、ちょっとマテリアルには意地悪な削り方。境目の「欠け」を見て下さい。

で、その結果ですが、上のタミヤ、追加盛りした境界中央部付近にちょっとだけ欠けが出来ました。悪くはないけど良くもない食い付き、といった所でしょうか。


軽量エポ


意地悪な方向から、かなりラフに削ったにも関わらず欠けはありません。素晴らしいなじみ具合です。「伸びの良さ」「粘り腰」といった特徴がここでも出ているのでしょうか。この食い付きの良さにはちょっと驚きました。


ミリプット


けっこうはっきりとボロッといってるのが見えます。タミヤよりも更に食い付きは弱いようです。


ミリプットS


意外でした。ここにきてミリプットとミリプットS、はっきり違いが出ました。食い付き・馴染みに関してはミリプットSは素晴らしいものがあります。追加盛りした部分の境目がまるで見えません。この結果、ほんとにほんとかなぁ?何かの間違いじゃなかろうか。そう思ってしまうくらい。


木パテ


ちょっと見にくいですが中央やや左、ほんの少し欠けています。全体的には追加盛りした境目が殆どわかりませんので、まずまず良好って感じかな?


スカルピー


まず下側をオーブンで焼き、その後上に盛りつけて更に追加焼き。
で、結果ですが、最悪です。「食い付きが悪い」というレベルではなく「全く食い付かない」と言うべきでしょう。追加盛りする際には何らかの対策を立てることが必須。


○食い付き・簡単なまとめ

素晴らしい食い付きを見せたのはミリプットS、それと軽量エポ。次点は木パテ。タミヤは良くもなく悪くもなく。そして、返す返すも残念だったのはスカルピー。


○総括

「硬化前」「硬化後」「食い付き」と見てきましたが、わたし的総合ランキングでは、ダントツ一位は軽量エポ。硬化前はやや軟らかめで扱いやすく、硬化後の削り感は文句なしに素晴らしい。食い付きもえらく良い。ここまではっきり他のパテと差が出るとは、正直思っていませんでした。「私に最適のエポパテ探し」その結果は軽量エポでした。

タミヤは平均的でしたね。タミヤらしいというかなんというか。ただ硬化後の締まりは軽量エポより良いので、形状と場所によってはこちらを使う方が良い場合もあるでしょう。特にメカものなど、角張ってたりスジ彫りとかきっちり決める必要があるときなどは向くと思います。

ミリプットは残念な結果でした。良くも悪くも普通のエポパテとは違いが大きい。逆にファンドなどを使い慣れていて、そちらからの転向組には違和感が少なく使いやすいのかもしれません。

ミリプットSもミリプットとほぼ同じ結論。正直値段ほどの差はないのでは?と感じてしまいました。が、もしかするとこのパテの最大のメリットは「白色」であることかもしれません。レジンへの変換を前提とする原型制作ではなく、キットの部分改造。エポパテのまま表面処理し色を塗ることを考えると、「白である」利点は大きいでしょう。

木パテはちょっと極端。硬化がダントツに速く、そしてえらく軟らい。使いどころを見極めれば頼れる戦力になりますが、間違うと「使えね〜!」となるかと。あ、書くの忘れてました。他のパテは殆ど無臭ですが、木パテは少々キツイ臭いがします。ポリパテとは違って「頭クラクラする」系ではありませんが、え〜と、酢酸の臭いに似てます、ってわかるかな?

個人的に、とても悩ましいのがスカルピー。硬化前のハンドリングは全てのエポパテをかる〜く凌駕し、比べるものがない程ですが、それ以外がダメすぎる。「今すぐ使いこなせ!」と言われたら「ぜったい無理」と答えますが・・・なんとかモノにしたいと思わせる、魅力的なマテリアルではあります。顔だけでもこれでつくってみようかな・・・。


さて、「エポキシパテを比較してみた」これにて終了。しつこいようですがこれは私の主観によるものです。詳しい人・使ってみたことある人の中には納得いかないって人もいるかもしれません。それはご勘弁を。でも「これから使ってみようと思うけど、まず何買おう?」って人、何となく、各パテの特徴が掴めたのではないでしょうか。個人的には軽量エポをお勧めしておきます。あ、でも、お願いですから買い占めまくるのは勘弁して下さいね。私の分も残しておいて(泣)。

エポキシパテは魅力的なマテリアルです。ぜひ使ってみて下さい。
っていうか、ぜひ「造形」やってみて下さい。面白いですよ!


○オマケ

余ったタミヤと軽量エポ、なんとなく混ぜてみました。1対1で。
その結果、何事もなく普通に固まりました。切削感などの特徴は予想通り、タミヤと軽量エポを足して2で割った感じ。まさにそのまんま。「好みのパテを好みの比率で混合」1つの面白い手ではありますね。もちろんメーカーは推奨しないだろうし、私も知りません。ご自分のリスクでご自由に。