
 |
 |
正統?異端?スガワラ的スジ彫り万能論
我が愛しの道具たち スジ彫り工具編

|
 |
 |
 |
 |
さてさて、満を持してスタート。
今回は「スジ彫り」と、そこから派生する(深い関わりを持つ)「塗り分け」「スミ入れ」について、まとまらないままにいろいろ考えていこうと思います。
「スジ彫り」って言うと、普通は「細くて一定の幅の溝を彫る」ことだと思います。一般的に飛行機や船などのパネルライン表現によく使われますよね。ことガレージキット・フィギュアにおいては「複製の際に潰れたorダルくなったモールドを、よりシャープに・明瞭にするためにその周囲を鋭角に彫り直す」という方が多いかなと思います。これは塗装前の下地処理工程のひとつであり、そして、美しい仕上がりを求めるなら絶対はずせない「必須工程」。相当神経使います。このコラムでもそんな意味合いで「スジ彫り」という言葉を使ってますので宜しくです。
初回はスジ彫り工具編。私が使っている工具、以下でいくつか紹介しますが、当然道具が違えば彫った溝の具合も違います。その違いをお見せ出来ればと思います。
上のように2.0mm厚のプラ板に彫りを入れ、アップで撮ってみました。定規の最小目盛は0.5mmです。少々分かり難いかもですが、ご勘弁を。
(1)目立てヤスリ
最もポピュラーな道具のひとつです。扱いも簡単な部類。直進性に優れ、ガイド無しで直線orゆるいアールを描く溝を彫れます。(刃物ではなく)ヤスリなので、彫り過ぎることが少なく、太さ・深さも一定にし易いです。初心者には特にお勧め。中〜上級者でもたくさん使う機会があるでしょう。
デメリットとしては、線幅が太いという事。ある程度以上細くて深い溝は彫れません。
断面形状はこんな感じ。VとUの中間くらいでしょうか。少しエッジがめくれ上がっている(ケバ立っている)のも見えます。
(2)棒ヤスリ(三角ヤスリ)
目立てヤスリは扱いが簡単でお勧めなのですが、ヤスリ自体の幅が広いので狭い部分・奥まった部分には届きません。使える場所がどうしても限られます。それを補完するのが三角ヤスリ。形状がより細いので、また、上手いこと先端を使ったりすれば、かなりの場所で使えます。
但し、目立てヤスリよりも鈍角。浅い溝しか彫れません。直進性も劣ります。あくまで目立てヤスリで届かない部分を補う、という使い方が良いと思います。
断面形状は目立てヤスリより浅いV字。三角形。
(3)Pカッター
スジ彫り工具の定番。刃物なので、ヤスリよりもずっとシャープですっきりした溝が彫れます。直線も曲線も自由自在。「修行すれば」最も美しいラインをつくれる道具かもしれません。
・・・そう、「修行すれば」です。Pカッターは扱いが難しいのです。V字型の刃物であるが故に、力の入れ加減で溝の太さ・深さが変わります。また、フリーハンドで綺麗に彫ることは不可能でしょう。必ずガイドが必要、もしくは他の工具であらかじめ下彫り(下書きみたいなもの)する必要があります。
かなり深く彫ったので五角形(ホームベース型)になりました。浅く彫ればV字になります。V字の先端部はヤスリよりもずっと綺麗。エッジのめくれもありません。「すっきりした線」という印象です。
(4)彫刻刀(三角刀)
スジ彫り用具というよりは原型制作用具かもしれません。三角刀の一番のメリットは、フリーハンドで自由に曲線を描けること。モールド彫り直しよりも、いちからモールドをつくる場合に最適でしょう。もちろんフリーハンドで彫る以上、直線的な幾何学模様や、一定の深さ・太さで彫るというのは苦手な工具です。
断面はシャープではあるけれど太くて浅いです。
(5)ケガキ針
「切る」のでも「削る」のでもない、「なぞる」工具です。ちなみに上の工具は先端を自分で加工しています。鋭く尖らせ、またちょっとだけ角度をつけてます。もう一本あんまり鋭くないのも持っていて、状況に応じて使い分けてます。
これ、針の先端はと〜っても細いですので、かなり細いスジ彫りが出来ます。が、Pカッター同様扱いが厄介な工具のひとつ。フリーハンドでけがくのは不可能なので、ガイド必須です。そして、切るのでも削るのでもないですから断面がシャープになりにくい。凸凹にならないようにそっと優しく、何十回も何百回もガイドに沿ってなぞってやる必要があります。また、ケバ立ちがありますから後処理も必須。ケガキ針、実は私は苦手です。
断面はこんな感じ。細いは細いのですが、う〜ん、綺麗に彫るのは難しいですね・・・
(6)エッチングノコギリ
私が最も信頼し、多用しているスジ彫り工具です。上はハセガワトライツール製。コトブキヤとかでも出してます。私、これ無しではガレキつくれません、多分。
最大の特徴は「どんなに深く彫っても溝の幅は一定」ということ。エッチングノコの厚さ(上写真のは0.1mm)で、誰でも一定幅の溝が彫れます。「切る」系の工具よりも扱いは簡単だと思うし、フリーハンドでも何とかなります。最強のスジ彫り工具だと断言できます。超お勧め。
もちろんデメリットはあります。曲線を彫るのにはちょっとコツが要るということ、0.1mm厚という繊細な工具なので、パーツ表面の凸凹を片っ端から拾ってしまうため、事前にきちんとした表面処理が必要なこと。それと0.1mmより細い溝は彫れないということ。まぁ、それを必要とする人は日本中に何人もいないでしょうけど。
断面は一定の太さの細長〜い長方形。うん、理想的。
(7)カッター・デザインナイフ
溝を彫るための工具ではないけれど、スジ彫り工程に必須です。例えば、エッチングノコやPカッターなど、異なる道具で彫った形状の違う溝をなだらかに繋げ、整形・微調整したります。角になる部分とかのエッジを立てたり、短い距離ならば、斜めに2回刃を入れてやれば溝だって彫れます。直角コーナーの入隅部分のダルいところをえぐるように刃を入れ、シャープにしたりも(←やってることは簡単なんだけど、すごく説明しにくい。ゴメンナサイ。)。一定幅の溝は彫れませんが(もともとそういう道具ではない)、とにかく自由度が高く、切れ味鋭いので、微細な手直しに必要不可欠でしょう。
 |
 |
 |
|