初心者向け(じゃないかもしれない)模型撮影講座
INTERMISSION -白黒のススメ-


ひと休み。ここのところ難しい話が続いたので。

全くもって個人的な話ですが、最近、「白黒写真」の面白さを再確認する機会がありました。それ以来、白黒がマイブーム。ず〜っと昔、モノクロフィルムで撮影して、暗室にこもって自分で現像して印画紙に焼いて、なんてことを楽しんだこともあったのですが、最近、特にデジカメを使うようになってからは、モノクロは全く眼中にありませんでした。

模型の重要な要素として「どんな色で塗装したか」があります。最大のポイントである塗装の情報を写し込めない白黒で、模型を撮影するメリットなんかほとんど無いかもしれません。

でも、そうでもないなぁ、と最近思っています。

色の情報がない分、かたちがよりはっきりと見えるんですね。凄腕の原型師さんたちが苦心してつくった美しいラインを、カラーより鮮明に見ることが出来ます。また、ブラシ塗装時のグラデーションがまだらになってないか・不自然なシャドウをつくっていないかどうかも確認しやすい。自分の塗装技術の再確認にもなります。撮影技術、特にライティングの勉強にも大いに貢献します。どういう質の光が・どの角度から・どの程度の面積で、被写体に当たっているか、カラーより遙かにわかりやすい。ライティングのウマイヘタがてきめんに出ます。

そして何より、白黒写真にはカラーにはないステキな雰囲気があります。

下の4枚はギャラリーにある画像(カラーで撮影)をグレースケールに変換し、階調補正をかけたものです。はじめからモノクロで撮ったものではありませんが、雰囲気は伝わるかと思います。


ベルダンディ with Grampus、服のシワの感じがはっきり見えます。ふとももあたり、また上着のモールド付近にかけたグラデーションも。一方で、髪の毛が「ざわっ」とうねる感じ(?)に服とは違うグラデ具合にしている様もよく出ています。

長谷部彩嬢、こういう雰囲気です。製作時に出したかったイメージ、そのままです。そうそうコレコレって感じ。カラー写真より白黒の方が、より製作者の意図に近いというのも変な話ですが。

劇場版ミサトさん。長谷部彩と比べて、光の質がずいぶん違うのがわかりやすく見えています。陰影をはっきり見せることで、シャープな感じが出ているのではないでしょうか。女性的な柔らかさではなくて、戦士、って雰囲気でしょうか。

夏服のアスカ。白黒にすると、カラーとは違った雰囲気が出る見本のようなものです。背景のざっくりした紙の質感とあいまって、昔の肖像写真みたい。今は亡き曾祖母の、美しき・若かりし頃のイメージ?そんな感じ。時間的な奥行きが出ました。


コレを見て何かを感じた人、自分の撮ったものを白黒に変換してみませんか?そして、それで興味を持たれたなら、ぜひ、デジカメを白黒モードにしてみましょう。カラーとはまた違う、写真の面白さの一面を見られると思います。