初心者向け(じゃないかもしれない)模型撮影講座
カメラセッティング編 その1


カメラセッティング編では、カメラの基本的な設定について説明します。ごく当たり前の話として、カメラにはたくさんの設定項目があります。どの機種でも、ボタンやらダイヤルやら、やたらありますよね?それらを使って設定を変えると、撮れた写真のどこかしらが変わります。それぞれの設定項目を変えたとき、どういう風に写真が変わるのか、ぜひ知っておきたいところです。

今どきのカメラは、ピントから露出から、何でもオートでやってくれます。何も知らなくても、そこそこキレイに撮れてしまうのですが、「コンスタントに」「もうちょっと魅力的に」「思い通りに」撮りたいと思ったら、細かい設定項目を覚えることは大事です。

そして、それらは全て、カメラに付いてきた説明書に(それなりに丁寧に)記されています。まずはそれを読むこと。話はそれからです。設定項目、たくさんあって、こむずかしくて、めんどくさいです。でも、ここはひとつ、頑張ってみましょう。少しずつでも良いですから。



(1)ピント

さて、何はなくともピントを合わせましょう。良い写真の第一条件は「意図したところにピントが合っている」ことです。ほとんどのカメラは、シャッターボタン半押しでファインダー(液晶画面)の中心にピントが合うはずです (オートフォーカス・AF)。ファインダーの中心付近に、何らかのマークがあるハズ。被写体の、ピントを合わせたい部分をそのマークにもっていき、シャッター半押し、その後半押しのままフレーミングし直して、シャッター全押しします。ふつうはこれでOK。

でも、実はこれでは不十分。カメラには、大雑把に言うと、レンズと被写体との距離が近いほど(要するに小さいものを撮るときほど)ピントの合う範囲が狭くなるという特徴があります。風景や人物撮影だったら上記のやり方で十分ですが、こと模型の撮影に関しては更にシビアなピント合わせが必要です。

例えば、撮影のセオリーとして、人物(orフィギュア)を撮るときはカメラに近い方・手前側の眼に ピントをもってくることがほとんど。バチピンなのが前髪なのか、眼なのか、鼻なのか、そういうレベルの話になるとカメラ任せのオートフォーカスではキビシイです。マニュアルでのピント合わせ機能があるなら、ぜひそれを使いましょう。
バチピンだと「思われる」ところから前後1〜2段ぐらいずつ、計3〜5枚ほど撮影し、パソコン上で確認してベストなものを選ぶようにします。もしくは、ピントを固定できる機能があるなら、カメラの方を数cmずつ前後に移動させて、複数枚撮るのもアリ。

× 前ピン。
○ ほぼOK。あとほんの少し後ろでも良いかな?

△ ちょっと中途半端。
× 後ピン。

問題はオートフォーカスしか出来ないモデル。解決策はただ一つ。ほんのちょっとずつフォーカスさせる場所を変えながら、とにかく数を撮ること。「運が良ければ」一枚ぐらいピンが来てるのがあるでしょう・・・。

「ピントが合っている」のは大事です。ピンが来ていて初めて、カメラのレンズ・CCDなどの能力を十分発揮させることが出来ます。何はなくともピント合わせに全力を注ぎましょう。
後述しますが、絞り込んで被写界深度を広くとった場合でも、「本当にピンが来ている」のは1点だけです。ピント合わせを雑にして良いということにはなりません。F値がどうであれ、きちんと気を遣いましょう。


(2)露出 −シャッタースピード−

露出は写真の「明るさ」を決定します。世の中には明るいシーンもあれば、暗いシーンもあります。人間の目は優秀なので、かなり極端に明るい(or暗い)場所でも、フルオートで対象が「見え」ます。カメラは人間の目ほど優秀ではありませんので、CCD(orフィルム)に入る光の量を事細かにコントロールしてやる必要があります。それが「露出」であり、この露出を決めるパラメータが「シャッタースピード」と「絞り」です。(ISO感度については後述します。)

シャッタースピード&絞りもピントと同様、今どきはオートで撮れてしまいますが出来れば、両者の関係をきちんと把握しておきましょう。ではまず、シャッタースピードから。

「1/8」「1/125」「2”」(8分の1秒、125分の1秒、2秒)などの数値で表されます。これは、CCDに当てる光の時間の長さを表してします。例えば1/8だったら、CCDに8分の1秒間だけ光を当てているわけ。光を当てる時間が長ければ、入ってくる光の総量が増えますので、全体的に明るい(白っぽい)写真になります。逆にシャッタースピードを速くして、ちょっとだけしか光を取り込まなければ、暗い(黒っぽい)写真が撮れます。
また、適正量の光を取り込むために、一度に入ってくる光の量が多いとき(=明るい場所で撮影するとき)は、シャッタスピードを速くして光を取り込みすぎないようにするし、光の量が少ないとき(=暗い場所)ではなるべく遅くして、出来るだけ長時間光を取り込み続けることになります。通常、晴天の屋外など明るいシーンでは1/250とか1/500とかシャッタースピードを速くし、夜や室内など暗いシーンでは1/8とか1/4とか、遅くします。

このシャッタースピードの絡みで重要なのが「手ブレ」です。遅いシャッタースピードでは、シャッターが開いている途中にカメラがちょっとでも動くと撮ったものがブレてしまいます。手ブレを起こしたくなければ、シャッタースピードを速めに設定しましょう。
セオリーとして、焦点距離(ズーム)35mmの広角レンズだったら1/35、50mmの標準レンズだったら1/50より速くすると手ブレが防げると言われています。手ブレ限界は「焦点距離分の1」と覚えおいてください。

(※この撮影講座内の「焦点距離」は、すべて35mmフィルムカメラのレンズに換算した数値です。例えば、一般的に焦点距離50mmは標準レンズと呼ばれていますが、E-10の場合は50mmではなく、約12〜13mm程度。この数値はCCDサイズとの絡みで、デジカメの種類によって多少異なります。)

× 典型的な手ブレ写真。
像が二重になってます。
× 一見ピンぼけとも見えますが、原因は手ブレ。

ただし、現実問題として、模型を室内で撮影する場合、シャッタースピードを十分に速くすることは不可能に近いです(ストロボを使用すれば別ですが)。蛍光灯程度では、室内は暗すぎます。上の画像は、蛍光灯光源下で、1/6〜1/8で切りました。三脚が必須だということがお判りいただけるでしょう。

○ 三脚を使いました。
ほぼOK。

露出を決定するもう一つの要素「絞り」については、次の「カメラセッティング編その2」にて。