私の肌色塗装法編


やってきました、第四回。
みなさんお待ちかね?塗装編の始まりです。

前にも書きましたが、ここまでの作業はあくまで「下準備」。
作品の出来を決めるのは「塗装」。そう断言します。
今回、まずは肌色塗装から。
では、はじまりはじまり〜


(1)「塗り重ね法」と「塗り残し法」

今から、肌色を主体としてグラデーションをかける訳ですが、
その前にちょっと説明。
大きく分けて、グラデーションの技法は2通りあると思います。
便宜的に「塗り重ね法」「塗り残し法」と呼びます。

(A) 塗り重ね法
 メカものでよく使われる「MAX塗り」。コレがまさに塗り重ね法です。
 最も暗い影の部分の色を一番はじめに塗り、
 その後、明るい色を塗り重ねていく方法です。
 顔料系塗料(クリアーではない塗料)を使用します。
 クリアー塗料は隠蔽力が無いに等しいので、いくら重ねても 発色しません。
 普通の顔料系塗料ならば、下地が暗くても、ある程度発色してくれます。
 この「ある程度」というのが、この方法のミソ。
 いきなり極端に発色はしないので、徐々に塗り重ねることになり、
 結果、とても自然なグラデーションになります。
 失敗もしにくく、リタッチも簡単。一般的に誰にでも勧められる手法です。

(B) 塗り残し法
 塗り重ね法は、光を通しにくい塗料を何層にも重ねます。
 重厚な仕上がりにはなりますが、透明感には欠けます。
 一方こちらは、透明感を重視した方法です。
 一般には「肌色のクリアー塗装」などと言われます。
 でも、実はクリアー塗料でなくてもこの方法は可能。
 極端に薄くした塗料を、完全に発色させずに、下地を残したまま塗っていきます。
 下地の残り具合でグラデーションを作っていくわけです。
 水彩画の技法だと思ってもらえるとわかりやすいかもしれません。
 テクニックが要りますが、透き通るような肌の感じを 出すことができます。

以下、私は(B)の塗り残し法で塗装していきます。


(2)ワタシのハダイロ

みなさん、肌色の調合にはとても気を遣い、
自分好みの肌色を作るため何度もトライ&エラーしていることと思います。

私は・・・
「グンゼMr.カラー111 キャラクターフレッシュ(1)」
コレ使ってます。っていうか、コレしか使いません。
この塗料にクリアーイエロー・オレンジ等を時と場合でごく少量混ぜます。
以上で肌色調合はおしまい。

この塗料、私の好みにバチピタ・・・
なので、敢えて自分で調合する必要を感じません。

もう少し説明します。
買ったばかりのコレを開けてみると、上澄み液はこんな色です。
かなり黄色っぽい。
一方、下に貯まった顔料成分は、こんな感じ。
薄ピンク、って感じです。
 
この配合がこの塗料の特徴なのですが、コレ、
薄〜く塗ると黄色、キチンと発色させるとピンクの色味になるんです。
上手く塗膜をコントロールしてやると、同時に異なった色味が実現できます。
私の嗜好である「限りなく色白の、黄色人種の肌の色」にぴったりだったりします。

上で書きましたが、私が肌色クリアー塗装をしないのは、
この塗料を使いたいが為です。
クリアー塗料より透明度が落ちるのは事実ですが、
現段階では、透明度より色調の豊かさをチョイスしています。
クリアー塗装では、色の濃さは変化させられますが、
一度に色味まで変化させることは出来ませんから。

では、実際に塗装してみましょう。


(3)実践(実戦)


塗装前の準備として、 パーツに持ち手(ツマヨウジ)を付けています。
また、接合部分にはモデラーズのマスクゾルを塗って、
接着面に塗料がつかないようにしています。
パーツが刺さっているのは発泡スチロールの板。

下地にプライマーを吹きます。
これはレジンの特性から、塗料の食いつきを良くするため。
今回はグンゼのビン入りを使用。

プライマー3〜4に対し、レベリングうすめ液1程度を混合、
3〜4回重ね吹きしました。綺麗に光沢が出たらOK。
(通常、薄める必要はないかもしれません。
私はノズル径0.2mmのブラシを使っているので薄めてるだけ。)

「キャラフレッシュ1の塗り残し法」欠点は、塗料原液以上の色の濃さは
どうやっても出ない、という点です。
キャラフレッシュのみだと少々白すぎ、メリハリに欠けるので、
部分的にクリアーオレンジでシャドウを入れておきます。
 
クリアーオレンジ+クリアーを、自分が吹ける限界まで薄めます。
右の写真、上は0.5秒ぐらいブラシを止めて吹いてみたところ。
一瞬でもブラシの動きを止めると塗料がボテるぐらいの濃度です。

エア圧を最小にして吹いていきます。
ブラシとパーツとの距離もかなり近い。1〜2cmぐらいでしょうか。

コツは、全体にではなく、ポイントを絞って吹くこと。
この上からキャラフレッシュを吹くので、気持ち濃いめに塗っておくこと。
あと、これは感覚的なものですが、筋肉の筋の方向にブラシを動かすと
リアルな仕上がりになると思います。
例えば脚だったら、ブラシは常に上下方向に動かし、
左右に横切る方向ではなるべく吹かないように、私はしています。
 


その後、キャラフレッシュを吹きます。クリアーレッド同様、かなり薄めに調節します。
カンでやってるので正確な濃度は不明ですが、
おおよそ塗料1に対しレベリングうすめ液3〜4ぐらいかな?


上で書きましたが、光の当たる部分を塗り残すようにして
うす〜く吹き重ねていきます。
先ほど吹いたシャドウ部分とも馴染むように。
下の写真は腕の内側だけ塗った途中段階。

パーツごとにグラデ具合が違ってしまわないよう、
頻繁に確認しながら作業していきましょう。

塗り上がりはこんな感じです。
最終的にはこの上につや消しクリアーを吹きます。
(ツヤあり肌は好きじゃないので。)
 
左写真では、かなりピンクっぽく写っていますね。
右だと明るい部分が黄色系だと判ります。
この、ピンクでも黄色でもある色味が絶妙に私好み。

ふともも内側・おしり付近は、キャラフレッシュがほぼ完全に発色しています。
ひざ・ふくらはぎ付近は、ごく薄く乗っているだけ。
「塗ってある」と言うより「かかっている」感じ。

兎にも角にも、塗料を極限まで薄めるのが私のやり方です。
塗膜も相当薄いと思います。
ちなみに、この程度の面積を塗り終えるのに、おおよそ4cc(うすめ液込みで)
程度の量を使いました。皆さんと比べてどうですか?

グラデーションの濃さの具合ですが、私は、目で見てベストな濃淡にしています。
写真写りを前提にするのであれば、かなりキツめにするべきでしょう。
このあたりは各人の好みですね・・・
個人的には、ごく薄く・自然な、「グラデかけてる?」っていうぐらいが好きですが。



今回はここまで。
いや〜長かった。長すぎ。
ここまで書いた方法は、あくまで私好みの色を出すためのやり方です。
全ての人にお勧めするわけではありませんが、
ほんの一部分でも、皆さんの参考になれば嬉しいです。

次回は肌以外の各パーツを塗っていきます。
いろいろとトライアルしてみます。
乞うご期待!