熱情の行方
(2006/9)


「…っぐ…う、あっ!…く……うぅ!!」

薄暗いラボの青いモニターの光に照らされて、
浮かび上がるあんたの顔が快楽に染まっていく様が良く見えるように、
向かい合った体勢のまま腰を抱え込んで体をゆるゆると動かす。
激しくなり過ぎないように、単調に、焦らすように緩やかに、
熱い欲望で体の中を浅く深く絶え間なく掻き回し、反応を示す場所を執拗に擦り上げてやれば、
抱え上げた足が快楽にビクビクと震え、内部はもっとと欲しがるように絞めつけてくる。
だが当の本人は、
その行為と、途切れる事無く耳に聞こえ続けているはずの自分を犯す濡れた音に、
煽られ、昂ぶり、悦楽に溺れていく自分が許せないのか、
快楽に耐えるように固く眼を閉じ、漏れそうになる声を上げまいと必死に口を引き結ぶ。
その仕草がより一層、相手を煽る結果になっているなんて事に気付かないまま。

「ぐっ!…あ、あぁっ!!」

不意に掻き回す動きと強さに変化を加えて、体の奥までを容赦なく突き上げてやれば、
堪え切れなかった嬌声がその口から上がる。

「くっく…そんなにイイかよオッサン」
「っ…う、る…さい!…あぐっ!!」

こんな状況で、余裕なんてとっくになくなってるくせに、
それでもこっちの煽り文句に律儀に反論しようとするのが楽しくて仕方ない。
そんなだから益々弄りたくなるんだぜぇ…オッサン。

「なぁあんた、今自分がどんな顔してるか知ってるかい?」
「な…に……」

腰を深く進め、耳元で囁くようにしてそう問いかけると、
快楽に力が抜けて倒れそうになる上半身を、同じように力が抜けそうになっている腕で必死に支え、
頑なに閉じていた眼を、瞼を震わせながら薄く開けて、
体の熱に上ずった視線をゆっくりとこちらに向けてくる。
その視線をまともに受けとめれば、ゾクリと体の芯から沸き上がる熱い震えに、
煽るつもりが自分の方こそ捕らわれるようにして煽られる。
本人が自覚してないだけ性質が悪く、それゆえに堪らない。
スグにでも目茶目茶にしてやりたい欲望に駆られ、
我慢がきかなくなりそうなのをなんとか押し止めながら、
皮肉を帯びさせた声で、含んだ笑みを見せながら囁いてやる。
余裕がない自分を億尾にも出さず。

「欲しくて、欲しくて堪らないって顔してるぜぇ…
 もっと奥まで、俺で一杯にして欲しいって顔をな」
「…なッ……きさ…っ!!…うあっ!あっ…ああぁッ!!」

赤く上気した顔を一層赤くしながら否定の言葉を吐こうとするの遮るように、
深く潜り込ませていたものを引き抜き、そのまま腰を強く打ち付け、
激しく抉り上げ、より深く突き上げる。

「ひっ!…あ、くぅあぁ!!…ク…ル……ッ!!」

後はただ、
口を引き結ぶ余裕などあたえないように、その口から嬌声だけが上がり続けるように、
そして自分に縋りつかせるように、抗えない程の快楽だけを与え続ける。
熱くぬめり締め付ける内部を掻き回す度に、
強過ぎる快楽から逃れようとするかのようにビクビクと震える体を強く抱き込む。
一層深く、強く、その赤い体が自分の熱だけで埋め尽くされてしまうように。

「ああぁぁっ!!…ッル……ひぃあ!!」
「もっと…だ。もっと感じろよ」
「ッッ!!……あっ、うああぁ!!…あーー!!!」

強過ぎる快楽に流される涙で濡れる瞳を見開き、
零れ落ちる涙を止める術もなく頬を濡らし、
縋るように回し、逃れるように食い込ませていた指先を俺の血で赤く染め、
絶頂の波に成すすべなく翻弄される様を、
自分もまた体を強い快楽に支配されているのを感じながら、それとは違う悦楽に浸りながら眺める。

「…ッ…あ…は、ぅ…あ、ぁ……っ」

引き攣るようにして力んで強張っていた体から急速に力が抜け、
絶頂の余韻に浸るようにヒクヒクと震えながら崩れ落ち、
肺に空気を送り込むことだけに集中するかのように荒い息をつく体。
意識を飛ばしたような虚ろな目に俺が映る。

「センパイ……」
「……ぁ…ク、ル…」

そっと差し伸べ触れさせた掌に反応して、あんたが僅かに意識をコチラに向けてくる。
微かに戻った瞳の揺れる光を見つめ、そして、

「――――ッ!!!…ひぎッ!!あ、うあっ…が!!…ああぁぁッ!!!」

グッタリとした体を抱え直し、苦痛すら感じる程に思い切り奥まで突き上げる。
その途端、
激しく痙攣し、限界まで背を仰け反らせ、悲痛な嬌声が上がるのを酷く満足げな気分で感じながら、
逃れようと暴れる体を押え込み、加減することなく陵辱する動きを再開させる。

「あっ!ああっ!!…ぐっ、あぐ!!……ッも、やめ…ッ!!」
「あの程度で…終わりのワケがねぇだろ」
「!!……クル…ッル!…やっ!」
「クックッ…俺をギュウギュウ締め付けて、
 もっとってねだってるぜぇ…オッサンのここ」
「ッ…ああぁ!!……ル…ッ…うあぁ!!」

もう意味のある言葉を発しなくなったその口からは、俺を煽るだけでしかない喘ぎだけが漏れる。

「うあっ!!…あっ!ひ…ぐぅ…」
「好きなだけ感じさせてやるよ、
 俺のモノだけ感じて、もっともっとよがり狂っちまえ」
「…ル……ッあぁ!!…も…たす……あああ!!!」

背中に刻まれていく傷はなんの歯止めにもならず、
壊れたように声を上げつづけ、ただ助けを求めるかのように縋りつき、
限界を訴えて泣くのを無視してひたすら犯す。

「っ…ひあっ!!あ…ーーッ!!…クル……!!!」
「俺だけで…溢れちまえ…」

俺だけを見つめて、俺だけを感じて、俺だけで一杯になっちまえばいい。

そしてあんたの熱で俺を残らず満たしてくれよ…
本当に満たされたいのは俺の方だ…
「結合部」提出絵2(提出時:2006/3)

今回のはこのSSも付けての提出でした。
攻め鬼畜かっこいいクルルを目指してみたのですが…
こう…こう…
なかなか難しいですなぁ…

クルル相手の鬼ーちゃんだったら
どんどん書けるのに(笑)
>>Art