エアーブラシで瞳を塗ろう!編


最大のヤマ場到来、第七回。
瞳の塗装です。

十分な時間をとって心を落ち着け、出せる限りの集中力を発揮して、作業に取り掛かりましょう。


(1)筆塗りパート

私は顔は全てエナメル使用です。
肌色がラッカー系なので、ミスしても簡単に落とせるから。
他の塗料より、エナメル筆塗りに最も慣れているから、というのも大きな理由のひとつです。
ラッカー・アクリル・ガッシュなど、自分が最も得意とする塗料で塗って良いと思います。

あと、顔塗りに欠かせない私の最終兵器がコレ。
 
SEIUNDOの面相筆10/0 と、頭にセットする拡大鏡。

筆は幾つか試しましたが、私にはコレが合うようです。
自分に合う筆を見つけるのも、美しく仕上げるコツのひとつ。
また、もともと目は良い方ですが、アイラインを描くときは必ず拡大鏡を使います。
どアップの写真撮影に耐えられる線を引くためです。
裸眼だと、どうしても「こんなもんだろう」と妥協しがちなので。


まず、モミアゲ・眉毛・口を塗りました。
その後、白目を入れます。

私は、最も集中力を必要とする目を、塗装工程の一番最後にまわします。
目が塗り終わると、一気にモチベーションが下がるので、
それ以外の部分をいつも先にやってしまいます。

その後つや消しクリアーを吹きます。
白目部分をコートして、その上に描くアイラインと混ざらないようにするため。

コート後、シャープペンの芯を尖らせたもので瞳のアタリをつけます。

今回、一番はじめのコンセプトに書いたように、
少し憂いのある表情を目指します。
キットのままだと、左上方向を見ており、「どう、私を見て!」てな感じなので、
右下方向に視線を変更。
当然、基礎作業段階で瞳のモールドは落としています。
ただ、顔自体がうつむいた角度なので、視線自体は真横方向で良いでしょう。
下を向かせると三白眼になって、いまいち可愛くないと思ったので。

さらに説明しておくと、
瞳自体は大きめ
各アイラインは限りなく細く、繊細な感じで
黒目(瞳孔)は大きめ
ハイライトは小さめ・一カ所のみ
こんな感じで行けば、寂しげな表情に見えるハズ。

アタリを基準にして、瞳の輪郭を引きました。


このまま行くと、どうも白目が明るすぎ、表情も明るくなってしまうかもと思い、
この段階で、急遽、 シャドウ入れ。
クリアーブルー+クリアーレッドを薄く溶いたものを塗りました。

皆さんはもっと早い段階でやってしまった方が良いですよ。

塗りあがり。



(2)エアーブラシパート

別なところでも書きましたが、私はここからはエアーブラシで塗ります。
瞳孔から虹彩にかけて自然なボケ味を出したいから
表面を平滑にして美しい映り込みを期待したいから
あと、筆塗りのグラデーションがいまいちヘタだから。

上で描いた、瞳の輪郭線の外側をマスクします。
大まかにテープで、ラインぎりぎりはモデラーズのゾル使用。
 

この後、黒目を入れるんですが、いかに0.2mmのブラシを使っても、このスケールでは
まっ黒に塗りつぶされるのがオチ。こういうマスク具を作りました。

透明プラ板を切って、先端にピンバイスで穴を開けてます。
穴の大きさは瞳孔の大きさによって変わりますが、今回は1.5mm。

コレを瞳の中心に当て、その上からブラシで吹きます。

このとき、表面に密着させては×。
少し離して、塗った境界線がボケるように。

こうなります。 ちょっとコワイ。

瞳孔の位置・大きさ・ボケ具合が一発で決まることはまずありません。
失敗したら綿棒にシンナーを含ませ、ふき取ってやります。
何度もトライし、満足いくまでに仕上げます。
上手くいったら、瞳の上半分を黒くします。
 
このときも、先に作ったプラ板の直線的な部分を利用し、
瞳の下側には塗料がかからないようにして吹きました。


ここまで出来たら、クリアーブルーを上がけします。
当たり前ですが、黒い部分にクリアーブルーを乗せても、全く発色はしません。
でも!光の加減によっては、真っ黒ではなく、青っぽい色味を帯びて見えることがあるんです。
「黒だけど、黒じゃない」感じが、私はとても好きです。

上と同様、プラ板でマスクして、上半分を塗る・次に上三分の二を塗る・
次に上四分の三を塗る、ってな具合で、青自体にもグラデーションをかけます。
今回、青い部分はほんのちょっとなので、ほとんど判りませんが・・・


マスクを取り、周囲のバリっぽくなったところリタッチ。

ハイライトを筆塗り。う〜ん、美人さん(はあと)

このハイライト入れが一番緊張し、また楽しい瞬間ですね。

最終的に色々なところに微調整をかけます。
今回は、少し上睫毛を太くしました。
また、ピンク系のパステルの粉を数種混合し、ほっぺに塗って、ほんの少しだけ
赤みを入れてあげました。


瞳塗装のコツ、ぶっちゃけた話、ありません。修行あるのみです。
ただ、敢えて言うなら、
 良い筆を使う。
 塗料の濃度を常にベストな状態に保つ。
 失敗しても復旧がし易い段取りを組む。
 上と矛盾しますが、絶対、失敗しないように、一発でキメる。
 ありったけの集中力を総動員し、気合いを筆に乗せる。
こんな事しか言えません。ゴメンナサイ。



今回はここまで。
いかがでしたか?
はっきり言って、オール筆塗りの方が早い&簡単です。
失敗も少ないでしょうし。
ブラシでの瞳塗装、どう転んでも、お勧めできるものではありません。

でも、私はこの方法が気に入ってます。
瞳をキメるためなら、どんな手間も時間も惜しみません。
美しい瞳には、それだけのことをする価値があると私は思っています。

次回は「夏服のアスカ」最終回、写真撮影編です。
やっとここまで来たか・・・ はぁ〜、疲れた・・・